大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(ネ)1295号 判決

被控訴人が本件二八号地借地権を訴外幸松に譲渡契約したのは昭和二一年一〇月一五日であり、二九号地借地権を訴外川上に譲渡契約をしたのは同月二六日である。これ等の譲渡は昭和二二年一一月二九日に被控訴人に対する東京都からの借地許可によつて効力を生じた。さすれば、被控訴人が右の訴外人等に本件借地を譲渡したのは、控訴人が被控訴人に対して借地権譲渡契約を解除する前であり、被控訴人としては借地権譲渡に何の妨げもない時期であつた。右訴外人に対し借地権を譲渡した際に、被控訴人が本件借地を将来控訴人に返還する義務が生ずるであらうこと而してその借地権の価格が敗戦によるインフレーションの進行により暴騰するであろうとの如き事情を予知したと認められるような資料は全くない。

被控訴人が借地を返還することができないことによる損害賠償としては通常生ずべき損害のみを支払えば足ると判断する外ない。而して通常損害としては返還不能が確定した昭和二二年一一月二九日の借地権の価額によるのが相当である。同日の評価額が六万三百円であることは、当審鑑定人高橋康の鑑定によつてこれを認める。控訴人は解除により被控訴人に返還すべき代金二五〇〇円をこの損害賠償額から控除することを認めているのだからこれを差引して金五七、八〇〇円の損害とこれに対する訴状送達の翌日たる昭和二六年三月二五日から完済に至る迄法定利率年五分に相当する損害金の範囲で控訴人の請求を理由ありと認める。

(角村 菊池 土肥原)

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